シュナイダー「精神病理学序説」
人格とは, 人の精神的なもの全部をいうこともあるが,われわれは知性, 判断, 記憶のごとき知的能力をこれに算入せず, 精神的感情, 評価, 欲動, 意思だけを纏めて人格とする. 精神的 感情や欲動は人格に算入しても, 身体的感情や欲動はこれに加えない. 性格という言葉も人格と同意義に用いられる. 知能は人格に数え入れないので, 先天的精神薄弱は異常人格には数 え入れない.人格という概念には, 更に先天的なものという意味が加わっている. すなわち,素質的なものである.人格の特質には, 先天的特質が関係することは確かであるが,固定したものと 解すべきでない. 人格は発展するものである.この発展は, 一方には意識外の身体的基礎として人格の背後に考えられるものの展開の産物であり,他方には周囲の状況や体験の産物である.すなわち,人格は, 一方には児童は青年と違い, 青年は成人と違い, 成人は老人と違うというような生物学的基礎の変化に従って変化するが, 他方, 体験や教育の如何にも関係がある.ゆえに, 同じ生物学的過程も周囲の作 用の如何によって, 人格に対し全く違った結果を生ずる.
オイゲン・ブロイラー
「精神医学の基礎としての生活経験に関連した人格発達について(精神医学総論)」
ディルタイ「世界観の研究」
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